Ainiyuku. あいにゆく。

名古屋の近く、愛知のはしっこから。 =編集者・ライター 杉山正博のブログ=

仕事と住む場所

「どこに住むか?」は、生活の満足度を大きく左右するだけでなく、例えば、もし自分がまだ小さい子どもであれば、「どこで暮らして、成長していくか?」は、その人の性格や価値観までも決めるような、大きなことだと思います。子育てを都会ではなく自然が身近なところでしたいと、移住を決意する人が多いのも、「どこに住むか?」が大切だとみなさん感じているからだと思います。

でも、「住む場所を自由に選ぶ」というのは、なかなか難しいものです。

先日、取材させていただいた若いご夫婦は、自分たちは本当に住みたい場所に住んでいるのかな? 仕事や他のことに縛られて、本当に住みたい場所に住んでいないのではないか? 「ここに暮らしたい」という思いから、純粋に住む場所を選んでもいいのではないか? と、さまざまな地域を二人で巡り、ここに住みたいと二人ともが思う場所を見つけ、そこへ通い、自ら仕事を作り出して移住されていました。ご自宅にもおじゃまさせていただきましたが、周囲を美しい山々に囲まれた、きれいな川が流れる、とても素敵なところでした。

住む場所を選ぶとき、やはりネックになるのは「仕事」です。例えば、会社に勤めている場合、会社のある場所(勤務地)から遠く離れた街に、ひょいと引っ越すことはなかなかできません。名古屋の会社に勤めているのに、会社から遠く離れた山の中に引っ越すというのは、やはりまだ、会社を辞める覚悟がないと難しいと思います。つまり、「住む場所」よりも、優先されているのが「働く場所」であり、「仕事」です。仕事に住む場所が縛られているとも言えます。

私はこれまでに、愛知→金沢→東京→愛知と住む場所を変えてきましたが、金沢から東京へ引っ越すときは、前の会社をやめて新しい仕事を見つけて引っ越しました。いわゆる転職です。ずっと愛読していた雑誌の編集部が東京にあったので、そこで働いて経験を積みたいなと思い、仕事優先で東京へ引っ越しました。

その10年後に、地元の愛知に移住したのですが、そのときは仕事は決まっていなくて、住む場所優先で決めました。それでもなんとかなったのは、東京でフリーとして仕事をするようになり、愛知へ移り住んでも仕事が続けられたからです。もちろん、東京でやらせてもらっていた仕事の一部は取材に行けないなどの理由でなくなったものもありますが、そのぶん、新たに東海エリアでの仕事が増えたりして、なんとかなっております。

もし、私が会社勤めだったとしたら、東京から愛知に移り住むためには転職するか、名古屋に支店などがあるような会社であれば、転勤を希望するかしないと、移住できなかったと思います。けれど今年、その「仕事に住む場所が縛られる」という状況が、だんだん変わってきました。

いわゆるリモートワークで、どこにいても仕事ができるように、変わっていきそうな兆しが見えています。会社に週に1回通うだけでいいのであれば、住む場所は会社の近くでなくてもよく、より自然が身近な場所など、選択肢が大きく広がります。これまで働くために都市部に集まっていた人口が、もっと広く分散していくだろうなと感じています。

それは、いろんな生活や生き方が選べるということであり、さまざまな考え方をする人が増えていく→画一的ではない世の中に変わっていく、ということだと思いますし、そうなってほしいなと個人的にも思っています。

もちろん、その場所に行かないとできない仕事もありますし、そう簡単に、これまで続いてきた習慣や社会が変わるものではないというのも分かります。ですが、せっかく起こった変化ですから、それをよりよく暮らしていけるように生かしていきたいなと思っています。

いま、私が車中泊にひかれるのも、場所に縛られない暮らし方だからだと思います。例えば、来週はあの街で取材があるからとそこへ行き、車中泊しながら1週間くらい滞在して、原稿を書いて、また別の街へ移る。ときどき戻ってきて名古屋で取材して、また別の地域へ行くみたいなことができたらなぁと妄想しております。通信環境があればいいので、すでにそれができる状況はそろっています。

ではでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。